PageSpeed Insightsの見方入門
PageSpeed Insights(PSI)は、実ユーザーの体験(フィールドデータ)と、検査用の計測(ラボデータ)を1つの画面で確認できる定番ツールです。本記事では「どこを見ればいい?」「スコアはどう扱う?」「何から直す?」を、公式の考え方(CrUX / Lighthouse / Core Web Vitals)に沿って整理します。
PageSpeed Insightsとは?(まず結論)
PageSpeed Insights(PSI)は、URLを入力するだけで ①実ユーザーの体験(フィールドデータ / CrUX)と ②検査用の計測(ラボデータ / Lighthouse)をまとめて見られるツールです。
- フィールド:過去28日間の実ユーザー体験(75パーセンタイル)を中心に評価されます。
- ラボ:一定条件での模擬計測。原因を掘るのに強い(再現テスト向き)。
結論:SEO/UXの改善はフィールド(実ユーザー)を基準に、ラボ(原因特定)で直すのが王道です。
PSIの全体構成:フィールドとラボ
PSIは大きく2ブロックです。
- 実際のユーザーが体験している内容(フィールドデータ)
- Core Web Vitalsの合否(Pass/Fail)
- INP / LCP / CLS(+FCPやTTFBなど、画面によって表示)
- 「良好 / 改善が必要 / 不良」の分布
- ラボ診断(Lighthouse)
- パフォーマンススコア(0〜100)
- 主要指標(FCP, LCP, Speed Index, TBT, CLS など)
- 改善提案(Opportunities/Diagnostics など)
最重要:フィールドデータ(CrUX)で見るべき場所
フィールドデータは「実際のChromeユーザーの体験」を集計したものです。 ここで最初に見るべきは次の3点です。
- このURLにフィールドデータがあるか(新規/低トラフィックだと表示されないことがあります)
- ページ単位か、オリジン単位か(サイト全体の集計にフォールバックする場合があります)
- 分布(良好/改善/不良)と75パーセンタイル値(多くの人が困っている側を重視)
覚え方:フィールドは「結果」、ラボは「原因」。
結果(フィールド)が悪いのに原因を直さない/原因(ラボ)だけ直して結果が変わらない、が一番もったいないです。
Core Web Vitals(INP/LCP/CLS)の基準と合否
Core Web Vitalsは、Googleが「ページ体験」を測る中核指標として示している3つです。 PSIでは、フィールドデータの75パーセンタイルが基準値を満たすかで、合否(Pass/Fail)を判定します。
| 指標 | 何を測る? | 良好(目安) | 不良(目安) |
|---|---|---|---|
| LCP | 最大要素が表示されるまで(読み込み体感) | 2.5秒以内 | 4.0秒超 |
| INP | 操作してから次の描画まで(反応の良さ) | 200ms以内 | 500ms超 |
| CLS | 表示のズレ(視覚的安定性) | 0.1以内 | 0.25超 |
ざっくり言うと、「表示が早い」「反応が良い」「ガタつかない」の3点セットです。 ブログは画像や広告、外部スクリプトで悪化しやすいので、改善の優先度がつけやすい領域でもあります。
ラボデータ(Lighthouse):スコアと主要指標の見方
ラボはLighthouseで計測され、パフォーマンス / アクセシビリティ / ベストプラクティス / SEOなどのカテゴリスコアが表示されます。 ただし、ブログ運用でまず注目すべきはパフォーマンス(Performance)です。
パフォーマンススコアの目安(Lighthouse)
- 90〜100:良好
- 50〜89:改善が必要
- 0〜49:不良
ラボでよく見る主要指標(意味だけ押さえる)
- FCP:最初の内容が表示されるまで
- LCP:最大要素の表示(CWVにも直結)
- TBT:JSなどでメインスレッドが塞がっている時間(操作遅延の原因になりやすい)
- CLS:レイアウトのズレ(CWVにも直結)
- Speed Index:表示が進む体感の速さ
コツ:ラボのスコアは「通知表」です。
次章の“優先順位”に沿って、指標→原因→打ち手の順に落とし込みましょう。
改善の優先順位(迷ったらこの順)
PSIの提案は大量に出ます。初心者が迷いにくい優先順位は次の通りです。
- フィールドのCore Web VitalsがFailなら、まずPassを狙う(INP/LCP/CLS)
- LCP改善(画像・ヒーロー要素・レンダリングブロック)
- INP改善(重いJS、長いタスク、サードパーティ)
- CLS改善(画像/広告枠のサイズ固定、フォント、遅延挿入)
- その後に細かな“点数改善”(軽微な診断項目を潰す)
そして「モバイル」と「デスクトップ」では結果が違いがちです。 SEOとUXの観点ではモバイルを優先して改善するのが基本です。
よくある誤解(スコアに振り回されない)
- 誤解:スコア100が正義 → 現実:目的は“ユーザーが困らないこと”。まずCWVの合否を見ます。
- 誤解:ラボが良い=実ユーザーも良い → 現実:フィールドとラボは一致しないことがあります。
- 誤解:PSIの提案は全部やるべき → 現実:影響が大きい順にやる方が成果が出やすいです。
- 誤解:1回の計測で結論 → 現実:計測にはブレがあるので、同条件で複数回・改善前後で比較します。
よくある指摘と“打ち手”の例
ここからは、PSIの「Opportunities/Diagnostics」に出やすい内容を、ブログ運用向けに“翻訳”します。
1) 画像が重い(LCPに直撃)
- 症状:次世代フォーマット、適切なサイズ、圧縮の指摘
- 打ち手:WebP/AVIF、レスポンシブ画像(srcset)、遅延読み込み(lazy)、ヒーロー画像は優先読み込みを検討
2) レンダリングをブロックするリソース
- 症状:CSS/JSが描画を止める
- 打ち手:不要CSS削減、重要CSSの最小化、JSのdefer/async、フォント最適化(表示遅延を避ける)
3) JSが重い(INP/TBTに影響)
- 症状:メインスレッド作業が多い、長いタスク
- 打ち手:不要なライブラリ削除、遅延ロード、サードパーティ(広告/解析/ウィジェット)の棚卸し
4) レイアウトのズレ(CLS)
- 症状:広告・埋め込み・画像でガタつく
- 打ち手:画像/広告枠の幅高さを確保、後挿し要素の抑制、フォント読み込みの影響を減らす
5) サーバー応答が遅い(TTFB)
- 症状:初期応答が遅く、他の指標にも波及
- 打ち手:キャッシュ、CDN、DB/プラグインの見直し、重い処理の削減
現場の近道:「画像」「サードパーティ」「JS」の3点を棚卸しすると、ブログは一気に改善することが多いです。
PSIとSearch Consoleの使い分け
PSIは1URLを深掘りするのが得意です。一方で、サイト全体を見渡すならSearch ConsoleのCore Web Vitalsレポートが便利です。
- PSI:特定ページを計測 → どこが遅い/悪いかを特定 → 打ち手に落とす
- Search Console:サイト全体で「不良URL群」を把握 → 優先して直すページ群を決める
まとめ:PSIは「現状把握→原因特定→優先度付け」の道具
- PSIはフィールド(実ユーザー)とラボ(Lighthouse)をセットで見られる
- まずはフィールドのCore Web Vitals(INP/LCP/CLS)の合否と分布を見る
- 改善はLCP→INP→CLSの順に、影響の大きい原因から直す
- スコア100にこだわるより、「ユーザーが困らない」状態を安定させるのが成果につながる